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「な、なぜですぞ!? 拙者はきちんと働いていたでござる!」
「イメージじゃねえの? 能力も役に立たなそうだしな」
けらけらと笑う都をよそに、浦島君は真剣な表情を浮かべていた。
「いや、案外悪くない能力かもしれないぞ? 敵がどんな能力を使ってきても、虎太郎には通じないし、いざとなればその耐性を味方に付与することもできる」
「やりようによっては、敵の能力を封じることも可能だしね。なんでそのくらいわからないのかなー。都、あんたバカすぎー」
浦島君の言葉に、かぐやも同調する。
罵倒された都は、言葉を詰まらせて小さくなってしまった。
「おおっ! ならばことみたんを守ることも可能と言うことですな!? いや、しかしことみたんに触れることが許されるのであろうか! ああ、悩ましい!」
その横で、一人で悶え苦しむ虎太郎。
その姿を見て、ことみちゃんが複雑そうに口を開いた。
「……ねえ、虎太郎お兄ちゃんはなんでそんなに私を守ろうとしてくれるの? 私のせいで死んじゃったのに……」
彼女なりに、責任を感じているのだろう。
ことみちゃんの言葉は、少し掠れている。
しかし虎太郎は、そんなことみちゃんに満面の笑みを向けた。
「ことみたん。目上が年下を守ろうとするのに、何か理由が必要なのでござるか?」
ことみちゃんが、ぐっと言葉を詰まらせる。
虎太郎の言葉は、優しさに溢れていた。
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