この海色を、何と言おうか。

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それで、今に至る。 明らかに減ったメール。 素っ気なくなった会話。 あの日の「ごめんな」という言葉。 私たちの中途半端な関係。 それらの全てに、私は限界を感じていた。 もうやめよう、メールも会うのも。 それを伝えるために会っているのだ、今日は。 何度も何度も自分に言い聞かせているのに、声にならない。 「孝弘」 「海色。」 やっと出た言葉が、彼の声と被った。 「あ、ごめんなに?」 「いや、大丈夫だよ。先に言って。」 孝弘の声を、最後にちゃんと聞くんだ。 「月が海に浮かぶのを水月って言うけど、この海の色は何て言えば良いんだろうって思った。」 そう言われて、目を前に向けた。 誰も居ない、夜の海。 穏やかな波の音と優しく浮かぶ満月。 「分からない。」 「分からないね。」 その時、私の唇に、 覚えのある忘れられない感触が、 風と共に触れていた。
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