現代日本の××事情

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「はー、これでやっとお喋り出来るよ。それじゃ早速なんだけど聞いてよ猫又ぁー! やぁっと新作がアップされたんだよー! ほら、YouTube見てー!」  和服ロリータを着た少女が二股の猫の尻尾を生やした女性――猫又に突撃をする勢いで抱き着き、その眼前に懐から取り出したスマートフォンを突き付ける。 「ああ、アンタのお気に入りのYouTuberだっけ? というかメトロのWi-Fiアプリ起動させないとYouTubeにも繋げないじゃないか」 「はっ、そうだった。まずは起動起動、っと……。いやー、しかしこのアプリ神ですわー。メトロ内だったらWi-Fi使い放題とか、メトロに棲んでる私たち勝ち組ですわー」  少女がスマートフォンを操作する。東京の地下、そのメトロに設置されているWi-Fiを自由に使えるアプリ。そのアプリを起動して設定すると、スマートフォンの画面端に無事Wi-Fiが接続されたアイコンが表示される。 「しっかしアンタの好きなこのYouTuber、あんまり再生数稼げてないねぇ……。座敷童のアンタに好かれてるんだから、なんかもっとこう、幸運に恵まれてじゃんじゃん再生数稼げたりしてそうなもんだけど」 「私の力も流石に電波を介しては通用しないっぽい。それにほら、知る人ぞ知るって感じでいいじゃない……?」 「アンタは下北沢あたりにいるサブカル女子か」  そんな会話をする猫又と座敷童の一方。     
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