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「まさかこんな路地裏に来るガキがいるなんてな」
フードを被った男が隣の男に笑いかけます。
「最近の坊っちゃんは温室でぬくぬくと育ってるからね。こういうとこが危険な事も知らないのかなー?」
もう1人の金髪黒眼鏡も煽るようにこちらへ唾を飛ばしてきます。この場に銃があれば即座に黙らせてやるのに、と思いながらキスカは男達へいい放ちます。
「邪魔。どいてくれる?」
早く離れるべくアルを引っ張って歩き出そうとします。それに対しフード男が青筋を立てながら近寄づいてきます。
「あ? 口のきき方も教わらなかったみてえだな。お嬢様よォ」
目に見えてイラついている男を金髪男が宥めます。
「落ち着け。なあ君たち、国外へ行ってみる気はないか?」
「無いわ」
即答します。どう見ても国外から来た人さらいでしょう。あちらとしても『商品』になるであろうキスカ達を傷付けたくないのでしょうが、それで分かりましたとはいきません。
アルは既に状況を把握してるらしく、囁き声でキスカに話しかけてきます。
(格闘術でどうにかならない?)
(流石に挟まれてたら厳しいわよ。それに大人が3人よ?)
(あ、そっか)
キスカたちが来た道は既に別の男が塞いでいて、後ろからの攻撃を考えると全員倒せるかと言ったらほぼ無理でした。極めつけは守らなければならない存在が隣にいることでした。
「何コソコソ話してんだ!」
フード男は完全に頭に血が上っている様子で叫んできます。
(ま、やるしかないんでしょうけど)
叫んでもここら辺は人気がないので無駄でしょう。どのみちキスカはここで奮闘するしかないのでした。
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