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「来週の金曜日ですが、東山動植物園に遠足に行くことはみんなお父さん、お母さんにお話しましたか?」
担任の言葉に楽しみだの、忘れてただの、学童が一斉に騒ぎ出す。
「もうちゃんと言った子も、まだ言ってない子も、お弁当が必要だってことは絶対に忘れずに連絡してね。それで、今からはその遠足で一緒に動植物園を見てまわる人の班分けをします」
「俺、せなちゃんと一緒の班!絶対!」
興奮しながらも隣の席のハバにだけ聞こえるように大輔は言う。
「班分けは席替えみたいにくじ引きで決めましょう」
「だってさ大輔。班分けは自由な方が楽なのになぁ」
ハバも残念そうに言うが、大輔は「多分いける」という楽観的な考えでいた。無論なんの根拠もないが。
班分けの形式は5人班が6つ、4人と担任が同行するという班が一つの計7つとなり、AからGの書かれた札を箱から引いて組み分けをするものだった。決して狙った人と同じ班になる確率が高くはないが、奇しくも大輔はお目当てのマドンナ伊東せなと一緒に普段から共に学年の悪ガキと称されるハーバード瑞樹、そのほかにはあまり面識のない星山綾火と坪井信吾と同じ班になることができたのだ。
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