偽りの絆

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アランに食事を持っていき、一緒に食べる。 これって仕事なのか? 楽すぎる。 こんなんじゃ、確実に追い出されるだろうな。 でも俺に何が出来る? とりあえず、部屋の住人がどこかへ行っているから部屋にあるタイプライターをいじる。 触った事がないけど、時間はある。 昼の暇な時間は部屋にこもってアランの真似をして触って位置を覚える。 施設にいた頃は散々だった。 毎日殴られた。 今もたまに眠れなくなる。 みんなは無事なのか… あの【親父】は俺の代わりに誰かを殴っていないか、心配ばかりだ。 三日目の夜は深夜に屋敷から抜け出してパブで相手を探す。 声を掛けられて値段交渉が済めばホテルへ直行。 これが一番稼げる。 誰かを愛したいなんて思ったことはない。 愛し方も愛され方も知らない。 屋敷に朝方戻ると不気味な執事、オースティンに出くわす。 俺をゴミでも見るかのような視線。 あぁ、バレて追い出されるのか。
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