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和田はグイッとグラスの中身をを飲み干しタンっと空のグラスをテーブルに打ち付ける。
和田「もう一線はこえてんだ。二の足踏むなよ」
和田は狂暴な視線を佐々木に送る。
久保はフレンチコネクションの入っていたグラスをさげ、次のシーンのためにマティーニをステアする。
□ジャズバーセイレーン
犯行をおえた二人はスリルと興奮、酒にしたたか酔いしれている。
酩酊の陰りある顔で佐々木(佐野)は呟く。
佐々木「…もう、俺達はルビゴンを越えてしまったのだな」
『どうだった?』
お前ら仲良しか、と内心突っ込みを入れるくらい酔っぱらいの久保は素直に
「圭の野性的な色気も希の憂いを含んだ色気もよかったよ」
しばし小川と佐野は沈黙し、何かをこらえるように
「やっべーかわいい」
「素直」
そして佐野が無駄に色気とイケメンを駆使して囁く。
「今夜泊まっていけよ」
酒くさいやけに熱っぽい掠れた声に久保の酔いが潮のように引いていく。
この二人は付き合っている、公然の秘密だ。性に奔放なのもわりかし知られている。しかしこの流れは、お楽しみに交ざれよベイビーってやつか。
冗談じゃない、俺はノーマルヘテロの既婚者!どさくさにまぎれた貞操の危機は断固回避する。
俺は自分の中で出来る最大級の色気の含んだ笑みで飲み明かしの流れにもって行った。
度数の強い飲みやすいカクテルや酒をガンガン飲まして酔い潰した。
ある晩の出来事、俺は貞操の危機にあった。
了
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