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ある晴れた夏の日、僕達は公園でおしゃべりをしていた。
どこにでもある日常だったと思う。その瞬間が訪れるまで、僕もそう思っていた。その瞬間はなんの前触れもなく訪れた。
『……でさー……』
「……キィィィン……」
「…今音しなかったか?携帯?」
『音?なってねぇよ?きのせいじゃね?』
途中から正面で話している親友の近くで音がする。それも、明らかに尋常ではない音がした。丁度公園にいたのは僕と親友の2人だけ。音がなれば気がつくはずなのに、親友は分からないといい不思議そうに僕を見つめた。そうしている間にも音は何度も親友の近くで聞こえる。それも、明らかに音は大きくなっている。これはヤバイと僕は親友の手を掴んだ。
「帰るぞ、ココやばい」
『やばいって何……』
不意に親友の声が途切れる。振り返るとそこにはもう親友の姿はなかった。
親友の持っていたカバンだけがドサりと落ちる。あちこち探したが、親友の姿は影も形もなかった。残されたのはカバンだけ。
今覚えば、あの音が異世界への入口だったのかもしれない。
音が聞こえた時は皆さんも気をつけた方がいい。死神が迎えにきた音かもしれないから。
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