白河夜船

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はぁー。 マナは大きな溜め息をついた。 その日は仮決算で売掛買掛等のパソコンの処理だけでなく、貸倉庫にある商品の現在庫数までカウントしなければならず、“これって私の仕事?” と悪態をつきつつも現物を見ながら箱の破損箇所なども記録していた。 しかも習慣で、つい掃除もしながら…… 時計を観ると23時を指そうとしていた。 “うゎー!地下鉄の最終って何時だったっけ?” 在庫のカウントを終えたマナはロッカールームへ走り着くや否や自分のロッカーを開けスマホを開いた。 バスより高いけど地下鉄の方が信号がないだけ時間に正確で電車に間に合う確率が高い。 今なら間に合う! 運が良ければ日付が代わる前に家に帰れるかも! ロッカールームを出てホールを通ろうとすると部長が急いだ様子でジャケットを片手に歩いていた。 「姉川、すまん。 送ってやりたいが、娘が今塾が終わったと連絡が来てなぁ。 塾は駅と真逆で姉川を駅まで送って娘を迎えに行くと30分くらい外で待たせないといけないんだ」 申し訳無さそうに部長は言うと、駐車場の方へ行ってしまった。
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