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「異空間?」
あまりにも突然の事でマナはオウム返しに聞き返した。
「えぇ、マナ様は今まで経験したことないでしょう。
私についてきて下さい」
それだけ言うとSZは車内の真ん中をスーっと歩いていった。
「待って!」
マナは急いで立ち上がるとSZの後を追った。
最後尾まで着くとSZは振り返りマナに笑いかけた。
「私はここまでです。ただの案内人ですから。
あとはこの魔法使いと行動を共にして下さい。
彼と一緒に居れば安全ですから」
そこには今まで誰も居なかったはずなのに、フーデッドパーカーを被り、×のついたマスクをした男性が立っていた。
「あれ?アナタ亡くなったんじゃ……」
その魔法使いは昨日マナが読んだ小説の登場人物の1人で異空間で激しい戦闘の末に命を落としたばかりだった。
それにしても、こういう時は主人公がエスコートするのが常ではないか。
そう、お月様のような名前の女の子とか。
「私では不満でしたか?」
「いいえ!とんでもない!」
マナが慌てて首を横に振ると、魔法使いはうんざりした顔で言った。
「そうですよね。
私の私服の肖像画を見ながらイッケメーンって叫んでましたよね。
おかげでこんな事に呼び出されたんです。
本当はしたくなかったのですが」
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