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学生寮には自分と同じような学生が全国から集まっていた。
その中で隣の部屋の長谷川は親友とも呼べるほど仲良くなり、ひょんな事からお互い何かしら視えてしまう体質だという事も分かった。
隣が墓場という立地が悪いのか、学生寮はどこか濁ったような空気感があった。
しかし毎日濁っているのではなく、日によって違った。晴れた日は比較的まともで、雨や曇りの日は空模様と同じように寮内もどんよりと重かった。
湿度の影響で羽虫が高く飛べないように、霊的なモノも高湿度の日は地上に出やすいのか。
日々の生活の中、長谷川と二人で「今日は割と普通だな」「今日は空気ヤバイから早めに寝るわ」と、言い合っていた。
長谷川の存在は何よりも心強かった。
ちなみに、よく出たのは私の部屋と風呂とトイレだ。
感覚としてはゴキブリと同じだ。
寝ていてふと目覚めると、備え付けのタンスの上にうずくまっている爺さんがいたり、ベッドの足元でうなだれた少女がいたり。
「うわっ!」とは思うけど、こちらが特に動かなければ悪さはしない。
強い悪意が流れてこないやつは大丈夫なのだ。
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