7人が本棚に入れています
本棚に追加
まだかなり遠目ではあったものの目がつり上がった鬼の形相にK君は震え上がりました。
『ごめんなさいごめんなさい、なにもしてないなにもしてないなにもしてない、たすけてたすけてたすけて』
K君は心の叫びを止めようとはしませんでした。
むしろ叫び続けました。
それは追ってくる女の叫び声がずっと聞こえていたからです。
「殺してやる…殺してやる…」
響き渡るその声は憎しみに溢れ、この世の者ではないと感じたそうです。
『こないでこないでこないでこないで、くるなくるなくるなくるなくるな』
恐怖に怯え冷静さを失いながらも家に辿り着きました。
K君は振り返る事なく、震える足に力を入れ階段をかけあがりました。
部屋の電気を点けドアにカギを掛けた。
あまりの恐怖に耐えきれず布団に潜りこんだ。
すると
「シタッ…シタッ…シタッ…」
何者かが階段を登ってくる!
『こないでこないでこないでこないで』
K君は心の中で強く念じた。
「シタッ…シタッ…シタッ…シタッ」
「ガチャガチャガチャガチャ」
ドアノブを回す音が部屋中に響き渡る…
『たすけてたすけてたすけてたすけてごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…』
「ガチャガチャッ… ドンドンドンドン… ドガーン」
「おいっ! おいっ!」
侵入してきた何者かかが布団をめくり上げた。
「どうした!? なにがあった!?」
呆然とするK君。
「え?何で?」
目の前に居たのはK君のお父さんでした。
お父さんの話によると
夜中、トイレに向かうとK君の部屋から断末魔の様な女の雄叫びが聞こえ、ただ事ではないとドアを蹴破り部屋に飛び込んで来たそうです。
辺りを見渡すと部屋中のポスターがビリビリに引き裂かれていました。
事の一部始終を父に話すと
父の知り合いに霊媒師がいるので朝一で呼び出し、見てもらう事に。
最初のコメントを投稿しよう!