いち。

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幼かった僕は、 どうして行ってはいけないのか、 さっぱり分からなくて。 『ばあちゃん、どうして? うみは、たのしいところじゃないの? ぼくも、みんなみたいに、 泳ぎにいきたいよ!』 そう言っていつも、泣いては、 ばあちゃんを困らせた。 『海人、泣くんじゃないよ。 ばあちゃんはね、意地悪で言ってるんじゃないんだよ? お前の為を思って、言ってるんだ……』 僕が泣く度に、 ばあちゃんはそう言って、 僕の頭を優しく撫でてくれた。
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