雨の記憶

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俺は顔を上げた。 ハルトの声はさほど大きくはなかったものの、しっかりと重みがあった。 「だから泣かないで。アマセ」 俺はそこで自分の頬が濡れていることに気づいた。 「怖くないから」 もう一度ハルトは言った。 俺は怖くて怖くてたまらないのに、ハルトは今日の空のようにどこまでも穏やかだった。 「他の人は、俺の何倍もいろんなところへ行って、俺ができない、色んな楽しいことをできるのかもしれないけど」 ハルトは俺を見て、少し照れたようにはにかんだ。 「俺にはアマセが、こうやってゼリーを持ってきてくれた思い出があるんだよ」
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