『離れないのよ』

水子

まあ、他にも理由があるけど、それはこの後で説明するわね。

母が誰にも言っていなかった水子の存在を当てたことで、私たちのきぬえさんに対する信頼感は格段に上がっていた。

この人、本当に見えるんだ…………

『お姉ちゃんに憑いてるってことは、
その子が今どんな姿をしているかわかりますか』

『本当に胎児のままの姿をしているね。
性別は男の子だったみたい。』

この子はね、誰かを殺したいとか
祟りたいとか思っていない。
ただ寂しくて、お母さんとお父さんを
困らせたいだけだから大丈夫よ。

お姉ちゃんの状態を良くするためにも、
この子に名前をつけてあげて、
お部屋の一角にお菓子を置いてあげてね。
あなたのこと、わすれないよ、
嫌いじゃないよって思ってあげて。
ちゃんと好きだよ、ごめんねって。
もちろんお母さんだけじゃなくてお父さんもね……

そう言われた時の母と姉の顔はとても穏やかだった。

信じられない話かもしれないけど、
きぬえさんの言う通りにしたあとから
姉はすごく落ち着いて
父と母と話せるようになった。

まあ、もしかしたら両親の辛い過去を知ったからかもしれないけど。

でも、人生で本当に霊の存在を信じた瞬間だった。

『で、今度は妹ちゃんの事なんだけど』

はい？