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ここまで予想と違うと逆にこわい。
そこでふと思った。
あれ?なんで私が妹の方だって気づいたんだ……
その時は、私の見た目がどう考えても精神を病んでる人に見えなかったからとか、母が事前に教えていたからかも、と考えていた。
きぬえさんを案内すると、彼女は家の扉の前、階段の踊り場で立ち止まった。
『なぜ来ないんですか?家はここですよ?』
するときぬえさんは困った顔でこう言った。
『ごめんね、まだ扉は開けないで。
もしかしてお家の玄関にぬいぐるみや造花を山ほど積んでいないかしら?
それをどけてくれないと、私中に入れないの。』
ゾッとした
当時我が家の玄関には、母が好きで集めた、
黄色い熊のぬいぐるみが200体以上飾られていた。
みんなが驚くのでちょっとした自慢だった。
なんでこの人は扉を開ける前からそんなことが分かるのか。
『理由はあとでお話しましょう。
まずは…一番奥の部屋に移してくれるかな?』
200の黄色い塊をビニール袋に押し込んでいく。
顔が潰れて可哀想だ。
言われた通り一番奥の部屋にしまい、きぬえさんを家の中に招いた。
『あんなにたくさんの人に見られていると入れなくてね。ありがとう』
人?
あれはぬいぐるみだぞ…?
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