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雨は、止む気配がなく、夕方には、本降りになり、ザァザァと音を立てて降り始めた。
「中々、止まないね」
マナは、窓の外を眺めながら、大きくため息をついた。
「ため息をつくと、幸せが逃げると言うぞ…」
僕は、マナにそう言うと、笑った。
20時を過ぎた時、空が白くなった。
雲が、ゆっくり流れている。雲の切れた所から、月明かりが漏れて、少し白く見える。
「雨がすごい弱くなったみたいだな」
僕は、マナに言った。
「外に出てみない?」
マナが、僕に言った。
僕は、コテージの玄関から、外に出ると、手を空にかざした。
「雨は降っているけど、傘をささなくても大丈夫そうだ」
草が、波の様にゆれている。
マナも外に出て来て、僕たちは、懐中電灯で前を照らしながら、永遠に続けてるかのような草原のあぜ道を歩いた。
「雨が、気持ちいいね」
マナは、笑みを浮かべながら、僕を見た。
「このまま行けば海かもしれない」
僕は、マナに言った。
短パンに、ピンクのTシャツのマナは、海まで行ってみたいね、と言った。
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