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『せっかく犬山から逃げて、ここに根倉を作ったのに』
黒鬼はため息をついた。
昔大須に遊郭があった頃から、殯の宮として根づいている鬼たちは優雅に過ごしていたはずだったのに……
なぜか、ノスタルジックな朱塗りの建物には、デカデカとスクリーンが置かている。
胸が強調されたメイド衣装の大須オーガニックドールーズが映され、
「コメ兵、矢場とん、大須ういろの本店・本社も大須!!!
何でもそろう大須!
困りゃせん。
なも~なも~~もな☆もな☆」
ここには似つかわくない曲が流れる。
その前では、鬼ではない団体が、音楽に合わせ、オタ芸……独特な動きの掛け声に合わせ踊っている。
「あやあやあやびー!!いっせな、いせな、せな!!!」
筆頭には吉原に追いやったはずの若者が一糸乱れず踊っていた。
あまりにも皆が「なも~なも~~もな☆もな☆」歌うため、特にオタクたちが、ここに流れてきて、いつの間にか、巨大スクリーンまで作ってしまったのだ。
恐るべしオタク力。
優雅を愛する鬼たちは、彼らを元の場所に戻すことを決意したのだ。
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