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「司、シャワー浴びてきなよ」
台所の方から千加が話しかける。
「いい。どうせ、またぐしょぬれになるし。そっちこそ、浴びれば?」
「・・・覗かないでよね」
引き戸から身を乗り出す様に、釘を刺してくる顔は若干赤くなっていて、
「だれが、今更。ついこないだまで、いっしょに風呂入ってたのに ぶッ!」
冷たいタオルが顔面に飛んできた。
「ソレ小学校3年までのハナシでしょ!冷蔵庫に麦茶とぬか漬け入ってるから、大人しく飲んで食べてなさい!」
ぴしゃっと浴室の扉が閉められた。
(つめたい)
顔面を覆う濡れタオルに手をやる。
きっと、補習に来る前に―――。
・・・昨日から冷凍庫に入れておいたんだろう。
どたりと畳の上に大の字に寝そべった。
すごくひんやりしてる。
相変わらず気が利きすぎてて、痒い所に手が届きすぎてて、無駄に付き合いが長いせいか・・・。
鬱陶しいくらいのモドカシサが充満する。
マジで鬱陶しい。
やたら近寄って来て、でも、その奥は全く視えなくて。
結局幼馴染か、弟みたいにしか考えてないのかと思えば、変に恥じらいみたいなのも見せて来るし。ややこしい。
司は起き上がり、ちゃぶ台に濡れタオルを置くと台所へ向かった。
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