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「よしよし、ちゃんと大人しくしてるな~」
Tシャツと半ズボンを着た千加が立っていた。
低く結び直した黒髪は、やや湿気を吸って毛束感が増している。
千加はちゃぶ台の向かいに座ると、ぬか漬けの残りに手を伸ばした。
「うん、いい浸かり具合!どぉ?」
「ふつうに食える。あっ」
「そういう事言うヤツには、あげません」
千加は小皿を取り上げた。
「ばあちゃんのじゃないよな、それ」
「不味かったら不味いって言えば?」
「不味くないって・・・」
「美味しくないんでしょ?」
「美味しくなくない」
「むかしは、もっと素直だったのに!・・・司」
「なに」
「おばさんに頼んで、もっと新しい校舎のトコに編入した方がいいんじゃない?」
急に真剣な声になったと思えば、そっちか。
「うるさい」
「このままだと、卒業出来ないでしょ!体調だって崩してばっかりだし」
司は千加に背を向け腕枕をし始めた。
(他のトコなんか行ったらますます接点が無くなる)
「こらーあ!年上の話には耳を貸しなさい」
彼の不貞腐れた態度に、ちゃぶ台の下に頭を突っ込みながら千加が説教をする。
こういう所も、また祖母譲りで幼馴染であるが由縁だろう。
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