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流石に今は視えても、安易について行ったりはしない。
代わりに、学校に行けなくなった。
形ばかりの言い伝えだけが残って、田んぼだらけだった場所も住宅だらけになっている。
しかし、地方の例に漏れず、高度経済成長時に建てられたデパートは、
ここ10年程ですべて閉店。居抜きで入った企業も、1年持てばいい方で、すぐに空き物件となってしまう。
そのままの状態が続き、最終的には更地で駐車場、というのがお決まりになってしまっている。
言わずもがな学校も古い建物が多く、歴代の生徒の思念やら、ただ単に通行する幽霊、人間じゃない生き物が常時徘徊しているのだ。
なるべく意識を向けない様にしているけれども、『視える』というだけで、ただの男子高校生。防御する方法なんて知らない。
相手は『視える』と分かれば、圧し掛かって来る。
昨日の補習みたいに倒れる事が日常茶飯事になった。
身体だけじゃなくて、精神も蝕まれて『死』やら『絶望』が脳内を這いずり回る。
お祓いに行くという選択肢もあるが、司の場合はその選択肢は無い。
ただ、医者になる事を強要する両親にとっては、成績さえ落とさなければいいというスタンスだった為、ある意味救いだったかもしれない。
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