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「司?」
声の方を見ると、キャミソール姿の幼馴染がタオルで頭を拭きながら、奥から姿を現した。
仄かにシャンプーの香りが漂う。
純情な思春期男子として正しい反応を見せる。
提燈の火を灯したみたいに、頬が火照る。
違うイミで心臓どっくどっくと鳴って、カラダは硬直する。
見ない様にしようと思いつつオスの本能で胸元を見てしまう。
(いくら幼馴染だからって、無防備すぎるだろ?)
「すごい雨だね~」
千加は呑気に天気の様子を呟く。
降って来る籠った盛大なドラムロール。
でも今の司には自分の心臓の音しか聞こえていない。
「・・・おれ帰るわ」
「ハッ?よしなさいよ!雷鳴ってんのよ!!びしょ濡れじゃないの!早くシャワー浴びな
さきゃカゼ引くよッ!!」
畳を濡らしながら、司は重い足を引きずりながら出ようとする。
「平気だって」
「だめよ!年上のいう事は聞きなさっ・・・」
千加が司の袖を掴んで引っ張った。
「ウザいんだって?いちいち姉貴風邪吹かすなっ・・・」
ブンっと掴まれた袖側の腕を振り切る。
「きゃっ」
反動で幼馴染が後ろに倒れる。
「!!」
やばっと司は幼馴染の躰を抱えようと、両手をめいっぱい伸ばしてホールドしようとする。
ずるっと雨で濡れた足裏が滑る。
「え。」
派手な音を立てて、ふたりは畳に倒れ込んだ。
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