1人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドの上で、手のひらにある無残な姿になった黒と白の目玉みたいだった石を見つめる。
罪人を改心させるかの様な、白い日差しが残酷にも、窓ガラスを透過して、不定形な石の断面を照らす。
「司」
ドア越しに、母親の声が聞こえる。
「小松原さんところの娘さん、昨日から帰ってないらしいわ。何も知らないわよね?」
「・・・知らない」
本当の事を言ったところで誰が信じるのか。
「知らないみたいです。ええ、何かわかりましたら」と建前の言葉を発しながら、母親の声が遠ざかっていく。
(あれが、神隠しなのか?)
あれは、明らかに俺を狙っていた。
千加は俺の代わりに攫われたんだ。
汗じゃない水分が、双眸から垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!