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補習に行くフリをして、司は松ぼっくりへと向かった。
警察が現場検証でもしているかと、内心は怖気づきながら。
そんな期待を裏切って、現場は静まり返っていた。
シャッターだけは閉まっている。
鍵が無い事をきっと不審がっているいるかもしれない。
自分に矛先が向いた時、どうやって言い訳しようか、と自分の事だけを考えてしまう。
御身保身の考えを見抜いてか、平屋の背後の立派な樹冠が激しくザワツク。
何だか、怒られている気がして。
そのまま手招きする樹枝に、近づいてはならない二日目に、踏み入れた。
全身の皮膚が粟立つ。
いつもの、あまり立ち入らない方がいい感じを通り越して、ニオイ、とでも表したらよいのか。
人間の普段住んでいる場所とは異質な空気が濃くなっている。
神社とは言っても、朱色の鳥居と祠があるだけだ。
両手で持ち上げられる大きさの賽銭箱を見た途端、司は小銭を祠に投げつけた。
まばらな金属をを鳴らして、小銭は石畳みに転がった。
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