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声がしたかと思えば、いつの間に居たのか、着流しの痩せた男が座っていた。
(やばい)
本能的にそう、思った。
人間じゃ無い。
誰が見ても、分かる。普通に座っている様にしか見えないが、男の腰は、宙に浮いている。
「どうしたぁ?モノホンの妖怪見て、ビビってんのか?エロガキが」
男は、銀煙管を咥えながら、挑発する。
「アンタ、人間、じゃないよな?」
「ああ。今はな」
フーッと煙を吐きながら男は司を見据えた。
血の気のない白い肌に、乱れた銀髪、黄金の目玉と目尻には紅い目張り。
「あの女の乳は気持ちよかったか?」
「は?!!」
イキナリの問いに、一瞬目を目を白黒させたが、直後司は、なんのことを言われているか気が付いた。
恥ずかしさと安い欲望感を凝縮した出来事。
思い出したくなかった様な、ずっと覚えていたいと思うのが本心である様な。
しかし、ソレを知っているのは、自分と攫われた本人と―――。
確信したと同時に落ちていた小石を得たいの知れない男に向かって、力任せに投げていた。
「ご挨拶じゃねぇか!妖怪相手に物理攻撃は無駄だって、わかんねーのか?」
小石は炎に包まれると、炭クズとなって石畳に落ちると、跡形も無く消え去った。
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