第3章 8月14日ー邂逅2ー

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「『喰った』っつっても、糞になるワケじゃあねぇぞ。少し変わったかもしれねぇがな」 「生きてるって言うのか?」 「確かめたきゃ、オレに付いてきな、クソガキ」 妖怪は適当な場所に、ふっ、と息を吹きかけた。 じわん、と木の幹と枝葉しかない空間が歪んだ。 ズズ、と妖怪は歪んだ空間に、暖簾を通る感じで入って行った。 怪奇現象を目の当たりにしてきた司だったが、当たり前の不可思議な動作に、あっけに取られていた。 「グズグズすんな、クソガキ~」 歪んだ空間から、妖怪の苛立った声がガラス越しみたいな大きさで聞こえる。 司は、歪んでいる空間の前に立ち、右手を伸ばした。 指の腹が触れると、水面の様に波紋が広がる。粘り気のある液体に近い。 人差し指を入れれば、強い吸引力で腕が持って行かれそうになる。 騙された?!!と後悔が過った。 「さっさとしろ~、クソガキ!!」 さっきよりも、淀みなく妖怪の苛立ち声が耳に入った。 踏ん張っていた足で、石畳を蹴って、司は歪みの向こうへと消えた。
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