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今度は暖簾を慣れた手付きで頭の上で、よけながらきっちり化粧した女性が顔を出した。
「もしかして、おにぃさん、あんひとのお知り合い?なら、アンタらの時間で言う100年分のツケ支払うよう、言っといてくれません~?」
「ひゃっひゃくねんぶん??」
「お知り合いなら、アンタらのカラダで返してくれてもエエんよぉ~?特にあんさん、可愛い顔、してまっしなぁ~」
司の顎をすると掬い、舐め回す様な眼差しを向ける。
「・・・・・・っ。あ、の、ここに女の子いますか?俺と同じ年くらいの・・・」
「あんさん、あの子連れ戻しに来たんかエ?ハハッ、物好きなお人なぁ~。あン子は、あたしが買い上げたんえ?若くて生きのいい子供女は、客受けもいいでねぇ。水揚げはまだだけど・・・。」
「あんさんが身請けするゆうんなら、話は別でっけど妖怪さんのツケ代の倍はしまっせ」
男子高校生に払えるわけがない・・・。
「まぁ、あんひとから聞いてるでっしゃろ?記憶取り戻したら、元の場所に戻れるゆうの・・・。そうすりゃ身請け料はタダになる。まぁ、そんなことされたら、ウチは大赤字。なにがどうあっても、身請け料もらわにゃあの子は渡せませんなぁ~」
「でしたら、オレ、僕を下働きに雇っていただけませんか?雨露凌げる寝床と、食事を与えて頂ければ」
「またまたオモシロイ事いう坊ちゃんやねぇ~。ええよぉ?ウチも賭け事は大好物。ココの連中は、み~んなそうやけどねェ」
ころころと笑う女性に、最低限の条件は得た気がした。
「じゃあ、早う上りなんし!そのけったいな恰好、脱いでもらわんと。・・・なんや、あの人と似てんやねぇ」
そんなに高校の制服が異様に映るのだろうか?
司からすれば、ここに辿り着くまでの道すがら、異形の者たちの恰好は江戸時代っぽかったり、中世ヨーロッパ的な恰好だったりと、時代が分からなくなる状態だった。
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