1.8月12日

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気が付けば、薬品の匂いが染みついた部屋のベッドの上だった。 ぐるりと囲った薄緑のカーテンが、機械的な微風に揺れている。 「司」 声に横を向けば、丸椅子に座る小松原千加が見下ろしていた。 黒髪の尻尾が頬の横から垂れている。 「軽い熱中症だってさ」 「あー・・・。悪い」 「いくら水分摂ったって、あんな暑い所じゃね」 千加は立ち上がり、薄緑のカーテンから出た。ぱたん、と鈍い開閉音が聞こえる。 後頭部と首に氷枕のひんやりした温度が心地いい。 額には濡れたタオルが乗せられている。同じ冷感でも、こんなに違うものか。
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