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「初めまして。ワタクシ、警視庁の刑事で高雫と申します。
失礼ですが、先日ライブにいらしたこのお嬢さんについて、二三聞きたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」
翌日、エイトでの練習を終えると、そう言ってスーツ姿の女がやって来た。
「はぁ。何でしょう?」
店の責任者とも言えるヨシさんは、怪訝そうに彼女を見る。
女刑事は、それに負けた様子もなく、悠然と微笑み、写真を見せた。
「・・・確かに昨日店に来ましたが、それが何か?」
「その時の、彼女の様子について教えて欲しいんです」
女が見せた写真に写っている少女は、昨日店で倒れた少女だった。
・・・
思わず、俺達は息を飲む。
その様子を見て、彼女は口元に弧を描いた。
「知っているようですね。
ついでに聞きますが、その時 何かありました?」
確信めいたその口調に、うすら寒いものを感じる。
他のメンバーも同様のようで、一様にその表情を固いものに変えていた。
「・・・ええと、そちらのベースの方」
「何か?」
「少し、お話したいんですが、宜しいでしょうか?」
彼女は、先程の不敵な笑みなど嘘のように 穏やかに微笑んだ。
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