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『ごめんね』
大ばーちゃんが言った。
『全然』
『苦しまなかった?』
大学病院から緩和ケアのある病院に移って、2週間程…意識が無くなってから2日、日付けを跨ぐ頃、臨終となった。
『最期は、なんか…亡くなったかなぁ…みたいな感じであまり苦しまなかったよ』
おばあちゃんや母親が、まだ暖かい腕や足をさすっていた。
『口、開いたままなんだね?』
『うん、閉めないのかしら?』
『硬直しちゃうとね?』
依里の母親は、歯科衛生士であった。
『ねぇ、触ってもいい?』
依里が言った。
『怖くないの?』
『うん!』
依里は、大じーちゃんの口を閉じようと口元へ体を近付けた。
『最期にメンチカツと御手洗団子が食いたかったなぁ…元気に育てよ…』
『うん…』
依里は、この瞬間能力を身に付けた。
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