14.デリシャス タイム

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「初めまして、中田成道です。 現在、出版社で編集者として働いてます」 み、見てる。 舐めるように下から上まで見てるうう。 ユリ伯母様は言った。 「成道さんにゃあ悪いが、 本人の器量云々は問題じゃないけ。 家業がヤーさんとなると、 私らも黙っちゃおれんのだわ」 キク伯母様も言った。 「悪評は広がるのが早いざますから、 スグに絶たないといけませんわ」 フジ伯母様は蜜柑大福を食べていて、 満足気に微笑むだけ。 ワンマンな父が業を煮やして口を開く。 「姉さん方には悪いが、 もう両家の顔合わせは済んでいるんだ。 これでいきなり破談にすれば、 向こうさんも怒るに決まってる。 ワシの指が何本か無くなるぞ、きっと」 3オバはニヤアと笑って答える。 「別に構わんだろ、 指くらい無くなったって。 ピアニストでもあるまいしのお」 「そうよそうよ。 1本でも2本でもあげなさいざまーす」 「ねえ、蜜柑大福もう1つちょうだい」 お、鬼だわ。 普通、実弟に指詰めろとか言う?? 「いや、とにかくこの縁談は進めるぞ。 何なら姉さんたち、ウチと絶縁してくれ」 「はああッ!? どの口がほざいとるんじゃボケェ!! お前がいま生きとんのはな、 私らが好きでもないオッサンと結婚して、 金を貰うたからなんだっつうの。 あー、もう完全に機嫌損ねたからなッ。 絶対にお前の娘の縁談、ぶっ壊してやる」
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