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……
「分かったわ!お姉ちゃん。
じゃあ今月イッパイまで家出してるから。
お母さまにもそう伝えておいて。
あと、ユリ伯母様たちの件、
ルビイちゃんに情報流せって電話しとく」
『分かった、有難う』と電話を切り、
スマホを握っていた手をマッサージする。
はああああああああっ。
長かった。
レミってば、会話に飢えていたらしく、
本題に入るまで3時間も掛かったのだ。
私のベッドに座り、
膝にPCを乗せて仕事するナカダ氏は、
こちらも見ずに『お疲れ~』と言う。
実は今回、『取材旅行』という名目で。
ええ、一応、私も作家ですからね。
とにかくそれで2日間だけこちらに
滞在出来るというワケだ。
「あと1日で解決するのかなあ。
ルビイちゃんの活躍に期待だわ」
ようやくココでナカダ氏が顔を上げ、
私に質問してくる。
「ルビイちゃんって、誰?」
「ユリ伯母様の娘で私たちの従姉。
今年25歳になるんだけど、
ウチの父親が初恋相手とかいう変人」
…ちなみに『流美唯』と書いて
『ルビイ』と読む。
「は?!リナの父親ッ?!」
「それが未だに好きらしくて、
ついでにその娘である私たちにも、
異常な愛情を示してくるのよね」
「だ、大丈夫なのか、その人」
「安全だとは言い切れないけど、
何もしないよりはマシでしょ?」
それから数時間は、
恐ろしいほど静かだった。
…が、突然事態は急変するのだ。
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