14.デリシャス タイム

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ルビイちゃんが訪れたのは レミへの電話を終えた1時間後のこと。 彼女は『大事な話が有るから』と、 いきなり我が家に突撃してきた。 相変わらずの薄幸キャラ。 姫のタイプで例えると『人魚姫』で、 悲恋の末、海のもずくになりそうだ。 ん?『海のもずく』だと酸っぱそうだな。 …えっと、そうそう『海の藻屑』だ。 しっぱいしっぱい。 1人でこっそり笑っていたら、 ルビイちゃんが満足気に全員を眺め出す。 眺める順番は、こんな感じである。 父、私、父、ナカダ氏、父、マリ、父、 畔辻さん、父、父、父、父父父父父…。 ええい、くどいわッ! 耐えきれずに私が口を開く。 「ルビイちゃん、 それで何か動きが有ったの?」 「…え、ああ、そうなの。 ウチの母の指示で側近とその秘書たちが 今から親戚連中に電話を掛けまくるわ」 「それってもしかして…」 「そう、リナちゃんの婚約者について 一気に広めるんですって。 周囲を味方にして追い込もうとしてるの」 父が話に割って入る。 「くそ、面倒だな。 そんなことされたら披露宴に招待しても 欠席だらけになるじゃないか」 「ほ、ほんとよねえ。叔父さま~ん。 やだ今日もダンディだわ、ふうううッ」 更にナカダ氏も会話に加わった。 「先に手を打っておきましょう。 あの、お義父さん。 お願いしたいことがあります…」
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