アンダーグラウンドにて、妄想女

2/9
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
残業して、うっすら夕日が滲む空を背に私は地下鉄に潜る。 皆、一様にゾンビのような疲れた顔をしている。 俯き、貞子のようになっている女子高生。 よれよれになった背広を着た顔色の悪い中年男性。 隣りに座る、足を組んだ茶髪の男性にしかめっつらをしているマダム風の女性。 そして、化粧が完全に崩れているのは百も承知な私。 仕事をしてて、同僚男性がミスをして失敗した伝票が顧客から返却さていた。 その人は今日、休みだったので私は気をきかして処理をして顧客に返却した。 ところが、未処理扱いとして伝票を待っていた他部署がいて、私は怒られた。 ずっと、他部署は待っていたというが、確認の電話はなかったので私はその伝票を処理したことすら忘れていた。 その前に、「まだ?」って確認してくれても良かったんじゃないの。 その同僚だって「来てなかったか?」と確認してくれても良かったんじゃないの。 てか、この同僚は私にこの前告白めいたことを言ってきたやつだ。 休みの日に疲れた体をなんとか起こして一緒にカフェに行った。 そのとき、 「もっと色々一緒にどこかへ行きたいですね」 「あなたの作るご飯も食べてみたいです」 勘違いだったら、すまん。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!