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その夜。
夕食後、風呂に入って就寝したのだが、真夜中、空調が悪いのか、暑苦しくて目が覚めた。
窓の外から差し込む明かりで、薄らとではあるが部屋の様子が見える。
家族は皆、爆睡中。
自分一人の為に起こすのも悪いと思い、布団をどかして再度眠ろうとするのだが、一度起きてしまうと、中々眠りにつくことができない。
元々好奇心旺盛な性格なので、ちょっとだけホテル内を探索しようと考えた。
当時、ホテルの扉はオートロックではなかったので、今思えばかなり不用心なのだが、鍵を開けっ放しにして廊下に出た。
すると、真夜中だと言うのに、人がザワザワと沢山いる。
「え? なんで、こんなに人がいるんだ?」と思いながらも、人混みの中をトテトテと歩いたのだが……どうもおかしい。
こんなに人がいるのに、人とぶつかるどころか、誰とも少しも触れない。
“あ! 当たる!”と思っても、その人達の体は自分の体をすり抜けていく。
当時から怖い話が大好きだった自分は、即座に悟った。
これはいわゆる……【幽霊】だと。
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