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総務課 栗原さんは見た……!
(side栗原)
エレベーターホールの奥、階段室の方から、誰かが電話で話している声が聞こえる。
「大丈夫だよ、やつらはしぶといから、すぐ立ち直る。目につくところから引き抜いていけばいい。
殺しても死なないタイプ?悪い言い方だなぁ、それは」
笑いながら、抑えた声で通話が続く。
「一番いい時期じゃないか。『狩る』には。
昔から決まってるんだ。ようやく花が咲き揃ったところを狙うのが、1番働きがいいんだよ」
誰だ? 狩ると言ったか? オヤジ狩り?
私達 栗原家 は代々、主の為に力を尽くし、その繁栄を守るためにある。そう子供の頃から教えられた。
20年程前、大学生になった坊ちゃまが、ご友人達と起業なさった。法律、不動産、株式、輸入販売、出版、ホテル経営…… 各分野に長けた方々が、親御さんの支援を受けて集まった多角企業。学生起業で、坊ちゃま達の不在を切り盛りする人材が必要、という時に、私に白羽の矢が飛んできた。もちろん、断るわけがない。
お屋敷の外でもお守りすることができるのなら、私は、喜んでお役目を引き受けましょう。
そしてこの宣戦布告。オヤジ狩り! 笑止千万!
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