機械仕掛けの人形

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けれど。 自分が見た光景は見間違いなんかじゃなかったんですよ。 スタスタと足早に見て回る父親が、ある一ヶ所で立ち止ったまま、真剣な顔をして本のようなものを読んでいまして。 「何読んでいるの?」と、父が手にしているものを覗き込んだ時、この博物館の奇妙さが露わになったのです。 父が立ち止まっていたのは、最後の展示室。 そこに一つのノートが展示されていた。 誰もが読めるようになっている、単なる大学ノート。 それは、このN県歴史博物館の警備会社の日誌。 そこには、夜中に突然鳴りだす民族太鼓の音。 誰もいない展示室でセンサーが人を感知して鳴り響く警報。 動く筈のない人形が、場所を移動していた等、“異常報告”が記されていました。 ええ。 単なる怪奇日記ではありません。 きちんと会社に報告すべき『夜間巡回報告書』の中にそれらが記されていたのです。 ここは本当に、物の怪が棲む歴史博物館。 企画も多い博物館でもありますので、皆様、一度は行かれてみてはいかかでしょうか? もしかすると。 あなたも何かを『経験』出来るかも?
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