25人が本棚に入れています
本棚に追加
「すごいよね! ロボット使うなんて! 等身大の人形が目の前で動いているからびっくりしたー!!」
先に進んでいた家族に向かって、興奮しながら駆け寄ると、「え?」と、不思議そうな顔をして振り返る。
「人形……動いてた?」
小首を傾げる家族に向かい、「え? 動いてたってば! さっき雪かきオッサンの腕が上がってたやん」と言って、展示ブースのすぐ横の階段を家族と一緒に上ったんです。
実は、その展示ブースは、二階から見下ろす事が出来るようになっていたんですよ。
なので、再度、家族と一緒に展示ブース全体を二階の窓から見て、説明しようと思ったんです。
でもね。
そこで自分は絶句し、家族には「頭大丈夫?」と言われてしまいました。
何故かって?
だって、聞いてくださいよ。
見下ろした先にあるものは、マネキン人形となんら変わらない単なる展示用人形。
動く気配どころか、微動だにしない。
じゃぁ、さっき、転んだ屋根の上のオッサンロボットは?
ソリを引く男子学生は?
雪掻きの動作をしていた男は?
混乱する快紗瑠の視線の先にある人形たちは、確かに、「雪かき」や「ソリを引いている」【動作】をした格好で【静止】していた。
ブースの真横を通った時には間違いなく、動いていた筈なのに……
とはいえ、ここで「絶対に動いていた」だなんて貫き通すほど馬鹿ではありません。
今見ている展示物は間違いなく単なる人形でしかないので、苦笑いしながら、「見間違えてたのかなぁ……?」と言ったものの、自分だけではなく、家族全員、複雑な顔をして、その展示コーナーから出たんです。
最初のコメントを投稿しよう!