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これといった趣味のなかった私が、会社の
上司に誘われて行った『釣り』に、めっきり
ハマってしまった。
一言に『釣り』と言っても、海には星の数程
の魚が生息するが故、その釣法は様々で
ある。
私が特にハマったのは『ルアーフィッシング』
というものだ。糸の先に、ルアーと呼ばれる
小魚に似せた疑似餌を付け、釣り人が竿を
操作し、本物そっくりの小魚を演出して大型
魚を誘い出すという釣法である。
『スズキ』
という魚がいる。その魚は釣り人の間で、
『シーバス』
とも呼ばれていて、ルアーフィッシングの
主なターゲットとして人気を博している。
シーバスの最盛期といえば、河川の水量が
増水し始めの5月中旬から、7月中旬の初夏
とされている。
趣味=『釣り』という人間は、暇さえあれば
“その”ことを考え、“それ”に時間を費やして
いるのではないだろうか。私も同様に、会社
が休みの日は、
(よしっ、今日は絶対…大物を釣ってやるっ!)
そんなふうに気合いが入るのであった。
「ピピピピピっ! ピピピピピっ!!」
携帯電話のアラームが鳴った。
「……ん、もう…3時か……。 よしっ、出発
するか……。」
日の出や日没といった、いわゆる薄明かりの
状態が魚を釣る絶好の時間帯なのである。
私はそそくさと準備を済ませ、期待に胸を
膨らませながら海へと向かった。
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