真夜中の彷徨者

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  防衛本能というヤツなのだろうか。   私は急に怖くなり、その場所から逃げ出し   てしまった。     (…クソぉ……何なんだよあの人達…!? こん   なんじゃ…平常心で釣りなんかやってらん   ないっしょ……。)   私はそんな事を思いつつも、とりあえず海   の方へと向かったのであった。   車を走らせた直後の事だった。   突然、空がピカっと光り、間髪入れずに  「…ゴロゴロ………ドォォォォォン…!」と、   辺りに雷が鳴り響き、雨がポツポツと降り   始めた。  「…うゎ…なんだよ…もぅ…。このタイミング   で…かよっ……。今日はついてないわ…。」   私は天候の回復を願って、釣りの現場付近   にある公衆トイレの駐車場でしばらく待機する   事にしたのだった。   待つ事、15分。   雨は止みそうにない。   それどころか、激しさを増す一方だ。   (…ふぅ…。今日は無理だな……。帰ろっ…。   釣具屋にでも行こうかな……。)   私は釣行を中止し、一旦自宅へと戻る事に   した。   日の出の時刻は昨日とほぼ変わらない。   だが、悪天候のせいか、時間の割に暗いと   感じていた。   “あの道” を通るのがやけに怖い。   徐々にそこへ近づいて来ると、私は、反射的   に目を背けていた。しかし、心のどこかで   気になっていたのだろう。私は一瞬、街灯   の下に目を向けてしまった。   だが、   誰もいない。  「…んっ………? 普通だ…。何もない………。   良かった……。 だけど…あの人達……あの後   どうしたのかな……。」   私は、ブツブツと独り言を言いながら車を   走らせるのであった。   
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