真夜中の彷徨者

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     それから、1㎞程走った時だった。   片側一車線の狭い道路の真ん中に、黒っ   ぽいポリ袋のような物が道を塞ぐようにして   置いてあった。   私は咄嗟に、   (うゎっ…避けきれないっ!!)   そう判断して、路側帯に車を停車させた。   (何だ…アレっ…? とにかく…どかさないと…   車が通れない…。他の人も迷惑するだろう   し………。)   私は溜め息をつきながら、その物体に近づ   いた。   すると、  「…うゎっ!! 狸だっ!!」   そこに転がっていた物体は、2匹の狸だった。   その狸は既に死んでいるとすぐに分かった。   車などに “跳ねられた” というよりも、   “息耐えた” という感じだった。   その時、   私はある事に気付いてしまった。   2匹の狸は、首にスカーフを付けていたのだ   った。片方の狸は青、もう片方は赤いものだ。  「…はっ!? まさかっ……こ…この狸っ!?」   私の頭の中で、いろいろな思いが交錯して   いた。私は直感的に、一連の妙な出来事は、   目の前にいる狸達の仕業だったのではない   かと感じ始めていた。   (……もし…この狸達が…… “あの街灯の下”    にいた二人だったとしたら……俺は…、凄く   悪い事をしてしまったような気がする…。   そういやぁ、子供に会いたい……とか言って   たっけなぁ…。俺が…バカ正直に “公園はも   う存在しません” なんて言っちゃったせい   で……。ずっと探し回ってかのかな……。)   そして私は狸達を端に寄せ、手を合わせた。   その後、しばらく車を走らせていたのだが、   私はずっと2匹の狸の事が頭から離れな   かった。   狸達に対する『罪悪感』と『深まる謎』で、   私は心がモヤモヤとしていた。   その時、私は思った。   (……この…不可解な出来事を…このまま…うや   むやにして終わらせるのは…何か納得いかな   いな……。あの人………いや…、あの狸達の為   にも…真相を突き止めようっ! それが今の   俺に出来る…精一杯のツトめだ……。) 
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