真夜中の彷徨者

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  私は、     友人、家族、インターネットなど、あらゆる   情報網を駆使し、真実を導き出そうと試みた。  「ふぅ……。 疲れたっ。」   私は猛スピードで情報収集し、ベッドに寝転   がりながら “あの出来事” の “仮説” を   頭の中でイメージしていた。   (…話しによれば…、神泊森林公園がまだ存在   していた頃……そこは…狸やリス等の小動物が   多く生息していて…住み処となっていた…。   あまりにも多く居着いていた為……   夜に道路へと飛びだした小動物が車に跳ね   られる事故が頻発していた……。   それをどうにか阻止できないものかと、   市、自然環境保全団体、鳥獣保護施設の職員   らが、   “傷ついた鳥獣を見掛けたら、御一報下さい”   といった呼び掛けをしていた……。   市民の協力のお陰で、事故は大幅に減少して   いたが……   しかし、丁度その頃   公園の周りには、住宅が物凄いスピードで   建設されて行き……やがて、小動物達は住み処   を失って……たちどころに姿を消してしまった   ……。   あの老夫婦は、 “子供に会いたい” と   言っていた…。つまり…、自分達の子供に   会う為 “あの街灯の下” にいたと考える   のが普通だ…。   野生の狸の寿命は七年前後で……、動物園   などで飼育されている狸の場合は…10年   くらい生きるらしいんだよな…。だとすれば、   首に巻いていたスカーフは、野生の狸では   ないという証拠だ…。   人間と共に暮らしていた狸だとすると、   施設の職員が何らかの理由で野生に放すの   を躊躇った…ってのと、   一般市民が捕獲し…ペットとして飼っていた…   っていう…二通りのパターンか……。   神泊森林公園が無くなったのは10年前で…   飼育されている狸の寿命は約、10年……。      
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