乙姫の陰謀

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 その男は、やはり玉手箱をあけてしまった。あっと言う間に、白髪の老人となってしまった。 ***************** 「おい、爺さん、ここは、勝手に住んじゃダメなところなんだぞ、ごるぁ!」 暖をとるために周りを囲った厚い紙を蹴られて、その男は飛び起きた。 若いあばた面の小僧共に取り囲まれていた。 「おぬしらは誰じゃ。何故このようなことをする。」 「はあ?誰だっていいじゃねえか!人に名前を聞くときは、自分から名乗るもんだろーが、ごるぁ!」  浜辺は寒いので、つい最近、男は川辺の橋の下に、粗末な紙の家をこさえたばかりで、ようやく安住の地を得たところであった。 「わしは、浦島太郎と言う。」 そう言うと、あばた面の小僧共は、腹を抱えて笑った。何がおかしいのだろうと男は思った。 その直後、強烈な痛みが尻を襲い、男は前のめりに倒れこんだ。蹴られたようだ。 「おい、爺さん、冗談もたいがいにしとけよ!昔話かよ!」  それを合図に、小僧共は一斉に男に襲い掛かって、よってたかって暴力を振るった。 何故じゃ。何故、わしがこんな目に。 「ウフフ、いい気味。」 空をふわりと羽衣が渡った。
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