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乙姫は、何日も泣き続けた。しかしながら、泣き続けたところで、問題は解決しないし、祝言の日は刻々と迫ってくる。そこで、乙姫は、ある考えに至り、霊亀に文をしたためた。
「私のことが、好きならば、お願いがあります。その願いを、聞いてくれるのであれば、私は、あなたの元へ嫁ぎます。」
これを読んだ霊亀は、喜んで乙姫に、何をすれば良いのかと返事を書いた。霊亀は、すでに齢、百は超える老人である。年甲斐もなく、うら若き乙姫に一目惚れし、権威に物を言わせて、乙姫を娶らんとしているのだ。
「霊亀様が、亀の姿になって、私を下界に連れて行って欲しいのです。」
そんな簡単なことで良いのかと、霊亀は狂喜し、喜んで亀の姿になり、乙姫を背中に乗せて旅立った。乙姫は、下界に着くと、ちょっと用を足してまいりますと、霊亀を浜に置き、姿を消した。そして、浜に居た小僧共に、金銀財宝を渡すことを約束して、亀の姿の霊亀を殺すことを命じたのだ。小僧共は、喜んで亀をいたぶった。亀の姿のまま瀕死の状態になってしまった霊亀を陰から見て、乙姫はほくそ笑んでいた。これで、私は、あの化け物の元へ嫁がなくて良くなる。
しかし、そこへ、下界の男が現れて、小僧共を追い払ってしまった。なんと余計なことをしてくれたのだろう。乙姫は、その男を憎んだ。
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