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“仕事辞めたから、しばらくは暇だな(笑)”
最後に(笑)とでも付けないと、自分のいい加減さや負の感情が露呈しそうで仕方がなかった。
自分には社会性もなければ、なんの能力もないのだと叩きのめされたあと。多少の貯金があったから、彼は一時期それで食いつないでいた。
”投げ出すのもいい。ほかにやりたいことがあるならいい。
でも、逃げてばっかだと何もなくなるからね。
キツイ言葉だと思うけど、あたしも散々辛い思いもしてきたから。
久志には幸せになってほしいんだ。
もうずっと久志が好きだから、あたしは絶対に離れないから。
まぁ、会うこともないかもしれないけど。
ずっと、応援してる。
いつか笑って過ごせるまでは、もがき倒せばいいよ。”
この時は、直接送られてきたメッセージ。
いつも少し上から目線な気がして、久志は苛立つこともあった。それが、時間を置いて見ているうちに、いつしかスーッと入ってくるようになった。
その内、あまり気にしていなかったはずの彼女の投稿も見るようになっていたのだった。
彼女が病んでいた時期があったのをそこで知る。やんわり、落ち込んでいる様子が文章から見て取れた。けれど、楽しかった出来事を多く挙げていたようだった。そうすることで、人に迷惑を掛けないようにしていたんだろう。今なら分かる、と彼は思う。
彼女が落ち込んでいたときも、大変だったときも。一切、久志から連絡をすることはなかったのに、同じタイミングでたまたま入れた彼の投稿に彼女は前向きな言葉だけを送り続けた。
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