序章

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『共に生きよう』 あなたとそう誓い合ったのは、いったい、いつの事だっただろうか。 星降る夜。満天の星の下。 お互いの手を取り合って、私たちは願った。 それは、叶わぬ願いかもしれないと、思ってはいても。 それでも運命に抗い、共に同じ道を歩もうと。 二人で、未来を切り開いて行こうと。 人間である私。妖狐である彼。 例え種族は違っても、分かりあえる日は必ず来る。だから、私たちがその第一歩になろうと。 泣きながら私が頷くと、彼は柔らかく微笑んで、私を抱きしめてくれた。 その腕の暖かさを、今ではもう思い出せないけれど。運命は無情にも私たちを引き裂き、その腕を冷たくしてしまった。 しかし、あの時の私たちは当然、そうなってしまう事を知らない。ただただ未来を願い、お互いの体温を感じていた。 ――今思えば、この時こそ、私が罪を犯した瞬間だったのだろう。 あの時、私は頷くべきでは無かった。彼を傷つけ、悲しませ、嫌われる事になろうとも、首を振るべきだった。そうすれば、彼を失わずに済んだはずだ。 私は何度もそう考えては、惑いの牢獄に囚われる。過去に戻れたらと、出会う前に戻りたいと、ひたすらに願う。 それが、彼の生を奪ってしまった私の罪。何処まで行っても私を追いかけてくる、私の犯した罪。 もしくは、陰陽師でありながら妖狐に恋をした、私に与えられた罰。それらを抱えたまま生き続けていく事が、私に与えられた罰であり、償いなのだろう……。
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