"アオ"に包まれて、貴方に会いに……

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──── 私は地元の海が好き。 と、言っても、内陸部の海だから、直ぐ近くには島がたくさんあり、空の青と海の蒼が混じり合い遥か彼方まで続く地平線なんてモノは見れないし、白い砂浜もなければ、深くまで澄み渡る蒼い海でもない。 砂浜には、漂って来たたくさんのゴミがあるし、春先には赤潮で一部の色が変化しているし、冬は死んだ鯖の目のように黒く淀んだ不気味な海だ。 ──── それでも私は、悲しい事・嫌な事・腹が立った事…… 何かあると地元の海を見に行っている。 夏の潮風は生暖かく、足元にはフナムシもたくさんいるが、少し離れた海岸沿いの駐車場にある木陰の下に車を停め、窓を開け目を閉じ耳を傾ければ、さざ波の指揮に、風に揺れ強弱をつける木々の伴奏、時おり聞こえる目の前を過ぎてゆくバスドラムのような船の汽笛、カモメ達の歌声が、心地好いハーモニーを奏でていて心を癒してくれるからだ。
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