ハルとナツ

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日頃の習慣とは恐ろしいもので、射るような日差しの中でも、学ランのボタンを外すことが出来ない。 制服はキチンと着るもの、その意識がインプットされているからだ。 キラキラと光を反射して、海面が輝いている。 水平線の先まで空の青は拡がっていた。 突然ぬるい風が吹いて、青く透き通っていた空の果てが、灰色に変わった。 ドツドツドツと、水面に雨が打ち付けられる音が遠くから近付いてくる。 俺のいる場所はまだ、ギラギラと太陽が差しているが、確実にあの雨雲は近付いて来ている。 「スゴイ、雨が海面に当たる音だ。  雨の降り始める瞬間見ちゃったよ。」 何だか、興奮して立ち上がり、近付いて来る雨を待っていた。
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