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プロローグ(自己紹介・霊媒体質について)
自分はまごうことなき<霊媒体質>である。
<霊媒体質>とは、簡単に言えば、『霊に取り憑かれやすい体質』の事。
まずは、自分が<霊媒体質>となった原因と思われる事から話していこうと思う。
理由は単純明快――
――死にかけたからだ。
赤ん坊の頃、肺に水が溜まり、死に掛けていた。
当時は治療法もなく、無駄に病院のベッドを占有。
医者も両親も苦しむ赤ん坊をただ眺めているしかなく、途方に暮れていた時、丁度、新薬が完成した。
この新薬が希望となった。
ただ、この薬は博打だったようだ。
両親が医者から受けた説明は、「この薬を投与すると、五十パーセントの確率で助かるか、死にます」だそうだ。
結果、博打に勝利し、今も生きている。
しかし、自分には両親に秘密にしている事がある。
自分の肺に水が溜まった原因は不明だそうだが、実は、自分には、いくつかの赤ん坊時の記憶がある。その一つはどんな記憶かというと、
『ハイハイしながら床に落ちているシリカゲルの袋を見付け、袋を破いて中身を食べる』記憶だ。
……これが原因なんじゃないかなと思う。
また、<霊媒体質>に関しては、
きっと、もの心つく前からも幽霊に身体を乗っ取られたりしていたんだろう。
「お前は赤ん坊の頃、夜中に目が青く光ったりするから怖かった」と、後に母親は語る。
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