第2章 幽霊の存在証明

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第2章 幽霊の存在証明

二十歳になった時、S県にある学生寮で暮らし始めた。 その寮は、最寄り駅から線路沿い徒歩十分くらいの場所にあり、線路沿いの道は死亡事故が多いらしく、「死亡事故多発注意!!」の看板が置いてあった。 寮生に学業に励んでもらう気づかいのない立地だと思った。 当時、学生社員として居酒屋で働いていた自分は、終電まで銭稼ぎにいそしんだ。 仕事終わり、寮に帰宅する際、深夜の暗がりの中、『死亡』看板付近を通るのが本当に嫌だった。 ただでさえ、深夜であまり人気もなく薄気味悪い暗い夜道で、『死亡』の文字が書かれた看板を見せつけられたら、枯れ葉が舞い落ちてもびびる自信がある。 また、びびってるせいか、誰もいないのに背後に人の気配がして、更にびびる。 更にびびったせいか、背筋が寒くなり、鳥肌がたつので、これでもかとびびる。 びひる自分は、毎回こう言い聞かせた。 「この世に幽霊なんかいない! いないんだから怖くない! 後は車に轢かれなければ大丈夫!」 と、頭の中で繰り返しながら、帰宅していた。 今思うと、この言葉を鼻で笑うために、<彼女>は現れたのだろうか。
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